2014年10月
市街地から視認できるかどうか?ということよりも、とにかく発想と実行力に座布団5枚!
今日の香港発のロイター、ウナ・ガラーニによる現実的な展望をコラムで。
題して、「解決の糸口は富豪の譲歩」
膠着状態に陥っている香港の民主化要求デモ。事態の収拾には、現地政界に絶大な影響力を有する富豪が一肌脱ぐ必要があるだろう。産業界が保有している「特別な票」の一部を手放せば、選挙改革をめぐる対立は緩和し、格差をめぐる亀裂も埋まるかもしれないからだ。
選挙制度改革について香港財界はこれまで、民主化の動きに神経をとがらせる中国政府を足並みをそろえ、概ね反対の意向を示してきた。香港の梁振英行政長官は20日、自由選挙を実施すれば低所得者の声が政治の中枢を占めるようになるとし、あらためて民主化案を否定した。
ただ、デモは4週目に突入し、そうした主張を固持するのはますます難しくなっているように見える。香港財界の指導者が今の段階で少し譲歩すれば、後の大きな対立を回避することにつながるかもしれない。
今回のデモは、中国政府が2017年の次期香港行政長官選挙をめぐり、民主派の立候補者を事実上締め出したことが発端。中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は同選挙について、親中派が多数を占める可能性が高い「指名委員会(1200人)」の過半数の推薦が立候補の条件とし、立候補者数も2─3人に限るとした。
現行の香港選挙委員(1200人)の多くは、農漁業から金融までの各産業を代表する団体の約23万9000票によって選ばれている。香港で有権者登録されている350万人に比べれば、ほんの一握りに過ぎない。しかも、そのうちの約1万6000票が、個人ではなく法人が票を投じる企業票となっている。これら企業は投票総数の7%以下しか保有していないにもかかわらず、実際には議席の40%以上を決める力を持っている。
企業がこうした力を緩めることが、事態収拾を図るための一案になる。例えば、一般社員に投票の権限を与えることもできるだろう。それでも完全な民主化にはほど遠いが、中国政府が決めた制度よりは辛うじて民主的な選挙にはなる。
財界首脳らはそうした譲歩を拒むだろう。また、この案がデモ隊をなだめるのに十分かどうかも全く予想がつかない。
ただそれでも、富豪らは自分たちが改革の障害ではないと示すことで、現在の混乱を終わらせる役割を担えるはずだ。それが結局は、香港が安定を取り戻すことにつながり、ひいては財界の長期的利益を守ることにもなるだろう。
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