8年前は頂上・三角点から先に延びる小道に掲げられた”通行不能”の表示に恐れをなして引き返したんですが(こちらもずうずしくなって警告を無視して歩いても何とかなる(?)という場合が多かったので)。
下り始めは岩が露出した部分が石段代わりにいけたんですが、そのうちに踏み固められた土の部分が前日の雨のせいでツルツル状態。
左右の藪に生えている灌木の枝を掴みながら滑らないよう足元に神経を集中しての下山、藪中で風も通らないこともあり大汗をかきました。
香港のハイキングコース、街歩きのメモです。
実に驚いた。英国の労働者たちが、自分たちや子どもたちを失望させているとして、欧州連合(EU)とグローバル経済に背を向けた。こうした労働者たちの多くは、英国内の大金持ちが裕福になるなか、自分たちの生活水準が下がるのを目の当たりにしてきた。
苦しんでいるのは、英国人だけではない。世界の経済エリートが築き、維持してきたグローバル化の進む経済は、世界中で人々を失望させている。信じられないことに、この地球上で最も裕福な62人が、世界の人口の半分の下層の人たちである約36億人の合計と同じくらいの富を所有している。上位1%の所有する富は、ほかの99%の人たちの合計よりも多い。大金持ちは想像を絶するぜいたくを味わっているが、何十億にものぼる人々は、悲惨な貧困や失業、そして不十分な医療、教育、住宅、飲み水に耐えている。
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このような世界経済の現状に対する拒絶反応は、米国でも起こりうるのだろうか? もちろん起きる。
私は民主党の大統領候補の指名争いで、米国内の46の州をまわった。そして、政治やメディアのエスタブリッシュメント(既成勢力)が認識さえしていないような痛ましい現実を、数多く見聞きした。
この15年間に米国では、6万カ所近くの工場が閉鎖され、製造業で480万人以上の高給の職が消えた。このほとんどは、低賃金国に企業の移転を促す破滅的な貿易協定と関係している。そして実に4700万人近い米国人が、貧困に陥っている。医療保険に入っていない人は推定で2800万人にのぼり、入っていても不十分な人は数多い。何百万もの人々が、法外な額の学費ローンに苦しんでいる。たぶん近代史で初めて、いまの若者世代は親世代よりも低い水準の生活を送るだろう。恐ろしいことに、教育水準の低い何百万もの米国人が、絶望や麻薬やアルコールに屈して前の世代より寿命が短くなるだろう。
一方で、米国ではいまや上位0.1%の人々が、下位90%の人々の合計にほぼ相当する富を所有している。所得が増えたうちの58%は、上位1%の人々の懐に入る。
私は大統領選の間、8ドルや9ドルの時給ではやりくりできない労働者、年額9000ドルの社会保障で必要な薬を買おうと苦心する退職者や大学の学費を払えない若者たちと話した。プエルトリコで米国の市民権を持つ人たちも訪れた。ここでは子どもの約58%が貧困のなかに暮らしていた。
はっきりさせておこう。グローバル経済は、米国でも世界でも、大多数の人々の役に立っていない。経済エリートが得をするようにと、彼らが生み出した経済モデルだ。私たち米国人は、真の変革を起こさなければならない。だが、民衆扇動や、偏狭な考えや、移民排斥感情による変革は必要ない。これらは、EU離脱キャンペーンでの巧みな言葉に使われ、(共和党の大統領候補指名が確実な)ドナルド・トランプ氏の訴えの中核をなすものでもある。
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私たち米国人は、世界中の人々をもっと緊密に結びつけ、極端なナショナリズムを抑え、戦争が起きる可能性を減らす国際協力を、力強く支援する大統領を求めている。そして、民主的な権利を尊重するとともに、ウォール街や製薬会社といった強力な利益団体だけでなく、労働者の利益も保護する経済を求めて闘う大統領だ。
そして、いまの「自由貿易」政策を根本から否定し、公正な貿易へと移行すべきだ。米国人が、時給何セントかにしかならない低賃金国の労働者と競争させられるのは間違いだ。環太平洋経済連携協定(TPP)を打ち負かさなければならない。持続可能な経済モデルを構築する貧しい国々に、手を貸す必要がある。
大企業や富裕層が何兆ドルもの納税を回避する国際スキャンダルには、終止符を打つ。また、地球規模の気候変動と闘い、化石燃料から世界のエネルギーシステムを移行させることで、世界中に何千万人分もの雇用をつくり出す必要もある。
世界全体の軍事費を減らし、戦争の要因になる貧困や憎しみ、絶望や無学といったものに立ち向かうため、国際的な取り組みを進めるべきだ。英国で離脱派に過半数を与えたのと同じ力が、米国でトランプ氏を利することにもなるという考えは、民主党に対する警鐘だ。英国の離脱派と同じく、当然のことながら米国の何百万もの有権者も、中間層を破壊しつつある経済的な力に怒りといら立ちを覚えている。
この極めて重要な瞬間に、民主党と新しい民主党の大統領は、苦労にあえいでいる人や取り残されてきた人々を支持すると、明確に打ち出すべきだ。ほんのひと握りの億万長者だけでなく、すべての人々の役に立つような国家経済と世界経済をつくり出さなければならない。