香港の50・60年代をノスタルジックに振り返る本は、見かけるとどうしても手が出てしまいます。
この「香港舊繪本」(08年7月発行)は、30年のキャリアを持つ児童漫画家による自身の子供時代を描いたものです。
その中の”茶樓”に登場するのが、上環・文咸東街にあって日曜になると伯父さんに連れられていかれたという「得雲大茶樓」です。
このイラストを見て思い出したのが、「ケネディタウン・ストーリー(西環的故事)」です。オープニング場面、スリをしている李子雄と鄭浩南が食事をして、次の獲物を見つけるという場面を「得雲」で撮影していました。
久し振りに見直したらこの作品、油麻地戯院や中国冰室、それにきれいに改修される前の医学博物館前も出てきます。冗漫な演出作品の多い午馬監督作にしては上々の出来ではないかと再確認しました。日本版ビデオで十分と思っていましたがDVDも必要になりそうです。
こんな古い茶樓を題材にしたような写真集や本などは、香港の出版社でも期待できそうも無いので映画に残された映像を丹念にチェックするしかないようです。