8月16日から公開されてきた「大師兄」、今日の荃灣西での1回上映で終了のようです(800萬HKにも届かなかったんでは)。
甄子丹の動作片という外見ですが、高校生の生活環境をリアルにきちんと描いているという予想外によく出来た学園ものでした(てっきり、ニコラスの「我的野蛮同學」風のアクションものかと)。
主役の甄子丹もさることながら、この5人の生徒が実にこの映画の半分以上を担っている印象を受けるくらいです。
香港生まれのパキスタン人、ADHDの弟とゲーム狂いの兄弟、男児に生まれなかったことで屈折した想いの女の子、天台屋暮らしの新移民の子という設定がリアルすぎて同世代の観客が拒否反応を示したのかというのは考えすぎ・・・・でしょうか?
アルフレッド・チョンの教育局の高官は実にはまり役、妻に逃げられたアル中オヤジ役の駱應鈞も上手くて、樓南光はいささかオーバーアクト、ドニーの高校生時代を演じた子が見事な蹴りを見せてくれるのに大笑い。
エンド・クレジット中のスペシャルサンクス、任賢齊の名前があるのはプロムナードで歌われるあの曲の絡み?
校庭での大勢を相手にする立ち回り場面、逃げるチンピラにドニーがBBQ用の串を投げつけヒットさせるカットがあるんですが、欧米の観客にはあの串らしき捧が??でしょうね。
なにしろ細部の描写が光った脚本です(コンサート・チケットの買占めにならぶパキスタン人、段ボール回収で生計を立てている祖母の内職で見せる花入れ、薬局でリタリンを手に入れる場面、PTUの警官がウクレレにドラッグを隠してないか職質するカット、などなど)。
深刻な題材を扱ってはいても見事に脳天気な明るさで終ってくれますが、この映画とは対照的にまるで救いのない展開の学園もの、林嶺東作品「学校風雲」を観返したくもなりましたが。
ないものねだりになってしまいますが、もしヒットしていたら続編もつくれたんじゃないかと残念です。


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