香港郊野遊行・續集

香港のハイキングコース、街歩きのメモです。

2023年02月

「平和」だけではなく、「正義」を。(朝日新聞有料記事より)

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  「平和」は誰もが希求する。まして戦乱の地であれば、その思いはひときわ強いに違いない。

 しかし、昨年11月にウクライナで実施された世論調査を見ると、ロシア軍による占領が続く状態での停戦を求めた人は、わずか1%だった。停戦の条件として、93%が「クリミア半島を含むウクライナ全土からのロシア軍撤退」を挙げた。多くの人々は、即座に平和を得るよりも、戦う道を選ぶ。つまり「平和」とは異なる価値を重視しているのである。

 「ウクライナの人々が求めているのは『正義』である」

 国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカリム・カーン主任検察官(52)は現状をこう読み解いた。ロシア軍による虐殺が起きた首都キーウ近郊のブチャなどを訪ねての結論として17日にミュンヘン安全保障会議の席で語った。

 筆者が現地で得た感触も、カーン氏の見方と一致する。なぜ攻撃されるのか。あまりに理不尽ではないか。このような市民の怒りが、生命を賭しても「正義」を望む意識に結びついている。

 この冬、ウクライナで何人かの法律家と語り合う機会があった。

 キーウの弁護士ユーリ・ビルースさん(34)は、法律コメンテーターとしてテレビに頻繁に出演する有名人だ。その仕事の傍ら、ロシア軍が占領期に手を染めた戦争犯罪行為に対する訴追活動を、ボランティアで続けている。

 ロシア軍の侵攻から間もない3月4日以降、被害に遭った人や遺族のもとを1軒ずつ訪ね、体験談に耳を傾ける。

 キーウ近郊の農村に暮らす老人は、ロシア軍によってロシアに連行されて暴行を受け、捕虜交換で帰国した。ビルースさんは村を何度も訪ね、証言をするよう老人に促したという。戦闘が続く東部から車で避難しようとした20歳の青年は、ロシア軍の検問所で監禁され、兵士から性的暴行を受けた体験を、避難先からオンラインを通じて語った。

 「話しやすい雰囲気をつくろうと、隣に腰かけ、時には一緒に涙を流すこともあります。時が経つにつれ記憶は薄れるので、停戦を待ってはいられません」

 今回の侵攻を重く見るICCは、責任者訴追に向けた被害者の証言を募っている。ビルースさんは昨年末までに、約70人分の資料や証言録画を提出した。ICCには被害者救済制度が設けられており、損害賠償への道も開けるという。

 中西部の都市ジトーミルの弁護士オレクシー・ヤシュネツキーさん(44)も、約50件の証言をICCに送った。ロシア軍に占領されたブチャから車で避難する際、銃撃で妻子2人を失った男性の体験などが含まれる。「一人ひとりの例を法廷で記録に残すことで、次の世代への教訓としたい」と語る。

 ヤシュネツキーさんは各国の法律家と連携し、欧州人権裁判所(仏ストラスブール)への提訴も進めている。これに協力するサンマリノの弁護士アキーレ・カンパーニャさん(43)は「支援のネットワークが広がりつつある」と言う。

 こうした動きに、ロシアが協力する兆しは見られない。違法行為にかかわった兵士らも、ロシアに逃げ戻れば捜査の手が及ばない。「だから結局、無駄ではないか」との疑問を口にする人もいる。

 ただ、長期的には様々な可能性があると、弁護士らは言う。ロシアの体制がいずれ変わるかもしれない。対ロ制裁を巡る駆け引きから、ロシア側が譲歩することも考えられる。責任者がウクライナで捕虜となる確率もゼロではない。何より、失われた「正義」を取り戻そうと努めることは、被害者や遺族にとって大きな励みとなるだろう。

 「正義」の実現を願う声は、パワーがモノを言う国際社会の現実の前に、しばしばかき消されてきた。一方で、今回の戦争では市民の思いが世界の世論に共有され、欧米では政府に行動を促す力ともなっている。

 「正義」は確かに、建前にとどまりがちだ。ただ、建前が少しでも通用する世の中を実現できないか。切に願う。

(編集委員・欧州駐在)

今朝の東京新聞から。

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今朝の東京新聞から。

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「The Furies」 3月BSプレミアで

3月、BSでアンソニー・マンの「The Furies(復讐の荒野)」がオンエアという告知。
日本語字幕付きDVDとして販売されているのは、ブロードウェイとコスミックから。
当然ながら製作元のパラマウント正規マスターではなく。
NHKですから怪しげなマスターではないと思いたいですが、このyoutubeにアップされているクライテリオン版を使ってくれれば有難いんですが。


今朝の東京新聞から。

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パソナ委託先、水増し請求の実態(朝日新聞有料記事より)

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 新型コロナウイルスのワクチン接種の電話受け付け業務をめぐり、人材サービス大手のパソナが再委託していたエテル(大阪市)が、虚偽の報告に基づく水増し請求をしていた。パソナから大阪府と兵庫県の計3市に過大に請求していた委託料は計約10.8億円に上った。

 最初に異常に気付いたのは大阪府枚方市だった。市は10日午後、経緯を次のように説明した。

 昨年11月1日。オミクロン株対応ワクチンの接種対象となる高齢者からの予約が増えると見込まれる日で、市のコロナ担当職員は「高齢者が電話予約をきちんとできるだろうか」と神経をとがらせていたという。

 市はエテルのコールセンターが受けた接種予約の電話の入電数や応答数などについて、市役所に詰めているパソナ担当者を通じて1時間ごとに紙で報告を受けていた。

 午後3時ごろ。紙では約3500人の予約電話に対応したという報告内容だったにもかかわらず、市の予約システムを見ると、予約完了した人は約750人にとどまっていた。

 市はパソナ側に状況の確認を求めた。

 パソナはこの日夕方、大阪市中央区にあるエテルのコールセンターへ抜き打ち調査に入った。オペレーター100人が座っているはずだったが、室内には33人しかいなかったという。

 枚方市によると、エテルはセンターへ派遣するオペレーターの人数不足を隠すため、派遣人数や入電数、応答数などを水増し、うその報告をパソナにしていた。人数不足と虚偽報告は、市がパソナにコールセンター業務などを委託した2021年3月から始まっていたという。

 その後の市などの調査で、実態が判明した。

 パソナ側はのべ2万7千人超のオペレーターをコールセンターに派遣するとの契約だったが、実際に派遣できた人数は7割程度、稼働時間は当初の見込みの65%にとどまったという。コールセンター業務の委託契約は今年3月までの約2年間で、パソナとの委託契約金額は約10億円に上る。

 委託料の原資は国の補助金で、うち13.5%が業務の管理費としてパソナに渡り、残りはエテルに支払われる契約だった。問題が発覚するまでの間、パソナがコールセンターを実際に確認したのは、事前に通告したうえで市とともに行った昨年3月の1回のみだったという。

 市の担当者は10日、「パソナによるセンターの管理体制が不十分だった。市も虚偽報告を見抜けず、市民に申し訳ない」と謝罪した。市は「パソナに悪意はない」との立場で、パソナとの和解案に基づき約3億6千万円の返還を同社に求める議案を3月議会に提案する予定。パソナの入札参加を停止するといった対応も検討するという。

 兵庫県西宮市では、委託の際に発注した人員の6割ほどしか配置されていなかった。委託料11億8875万円のうち、パソナに返還を求める金額は約4億5千万円に上る。

 市は10日に記者会見して経緯を説明した。「厳正に対処したい」とし、同社の指名停止や法的措置も含めて検討することを明らかにした。新型コロナワクチン接種課によると、22年12月11日までの間、業務委託の発注書では延べ3万600人をコールセンターに配置することになっていたが、実際には6割弱の延べ1万7900人しか配置されていなかった。

 ワクチン接種が本格化した21年5月には、市民がコールセンターに電話をかけてもつながらない状態が続き、市に苦情が相次いでいたが、その期間も発注書が定める人員の半数ほどしか従事していなかったという。

 同課の担当者は「電話をかけてもつながらなかった市民も多くいると思われ、市としても受託業者への指導・管理不足で大変申し訳ない」と陳謝した

 また、発注書では看護師ら医療従事者を少なくとも1人配置することになっていたが、実際は配置されていなかった日もあった。

 人員不足については、昨年12月にパソナから報告があった。パソナに対して市は、センターの人員配置を目視で確認するなど稼働状況を厳格に把握するよう指示。今年1月にはパソナが再委託先を大阪市の別の業者に変更したという。

 大阪府吹田市の担当者も10日午後に記者会見した。

 市によると、枚方市の問題を調査したパソナが吹田市の受託業務分も調べたところ、オペレーターの配置不足があったと昨年12月に報告があった。

 21年3月から22年12月まで、オペレーターの配置について契約人数は約3万8千人だったが、3割近い約1万人が実際には配置されていなかった。日中に100人配置するべきところ、35人ほどしかいない日もあったという。市は20~22年度の委託料約13億4千万円のうち、計約2億7千万円の返還をパソナに求めるという。

 市の担当者は「パソナを信用していたが、まさかこんなことになるとは思わなかった。市民の信用を失うような行為に対して非常に遺憾に思っているが、監督不十分だった本市にも一定の責任がある」と話した。 

バート・バカラック

バカラック死去。
94歳というから大往生。


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東京五輪談合、地検が重視する「一覧表」(朝日新聞有料記事より)

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  東京五輪・パラリンピックを舞台にした談合事件は、大会運営の中核を担った組織委員会の元次長と広告最大手「電通」幹部らの逮捕に至った。明らかになったのは、五輪に携わる公の意識に欠けた組織委に、電通が加担して作り上げた「出来レース」だった。大規模なスポーツ大会の国内開催が今後も相次ぐ中、透明性の確保と着実な運営の両立が問われている。

 「今回の談合は、発注者である組織委と業界最大手の電通が一緒になって主導したという点に尽きる」。捜査関係者はそう語る。

 東京地検特捜部は昨年7月、電通OBの組織委元理事をめぐる汚職事件で、電通や広告大手「ADKホールディングス」などを幅広く捜索。この時点で基礎資料を押収して談合疑惑を把握し、ADK側からは談合を認める供述も得た。

 11月、汚職捜査を終えるとすぐに談合に本腰を入れ、電通を再捜索するなどした。電通は捜査に全面協力した汚職事件では逮捕者が出なかったが、談合では直接の容疑対象になった。

 今回適用された独占禁止法の「不当な取引制限」が成立するには、①他の業者と意思の連絡(合意)をして②互いの事業活動を拘束(相互拘束)し、③一定の取引分野で競争を制限したという立証が必要になる。

 特捜部や公正取引委員会が重視する証拠が、組織委と電通が作った一覧表だ。

 容疑対象となったテスト大会の計画立案業務は、組織委の大会運営局が、競技会場ごとに26件の競争入札で発注した。同局次長だった森泰夫容疑者と電通側は、会場ごとの受注候補を記した一覧表を随時更新し、落札結果は最終的な表とほぼ一致した。

 「星取表」「割り振り表」。捜査関係者らは一覧表をそう呼び、「実際に表の通りやってるんだからダメ」「談合で表があればアウト」と指摘した。一覧表は①~③を満たす証拠で、他社を排除して落札者を事前に決めていたと判断。落札した9社の聴取結果を吟味し、7社が談合したと認定した。

 一部の業者はいまも「得意分野をまとめただけ」などと談合の認識を否定するが、検察幹部は「人は殺したけど殺人じゃないと言ってるようなもの」と一蹴。入札を伴わない随意契約ではなく競争入札を採用した時点で「複数社に受注能力があるという前提だ」ともいい、税金が入る公共性の高い事業で、競争が妨げられて価格が高止まりする談合の悪質性を強調する。

 一方、テスト大会の計画立案業務は計約5億4千万円で、1千億円単位が対象になることが多い談合事件の規模としては小さい。

 検察側が「それだけでは迫力がない」として注目した談合の「うまみ」が、その後の業務だ。

 落札企業はそれぞれ、テスト大会の実施運営や本大会の運営業務も随意契約で請け負い、事業規模は計約400億円に上った。

 組織委が作成した複数の資料には、落札企業が原則として本大会までの業務も受注すると明記され、実際に全てそのままスライド契約していた。検察関係者は「一体と見るのが自然」とし、随意契約分も③の「一定の取引分野」として談合容疑に含んだ。

 年度内決着に向け、検察は年が明けると全国から20人を超える応援検事を集めた。組織委の森元次長のほか、約20人を聴取した電通からも1人を逮捕した。

 東京五輪は、17日間で史上最多の33競技339種目が競われた。本番を想定したテスト大会を重視する国際オリンピック委員会(IOC)は2017年、「こんな調子で間に合うのか」と組織委をせっついた。

 焦った森元次長は電通側に各社の意向調査を依頼。これをきっかけに作られたのが一覧表だった。

 「時間がない中、穴を開けずに全会場でテストをやれるかを確認しただけ。他社の参加までは阻んでいない」。森元次長は当初、特捜部の任意段階の聴取にそう供述した。電通側も「最低この会社は来てくれるという意味で調べた実績表」と主張し、他社を排除したという特捜部の見方を、いずれも強く否定していた。

 では結果としてなぜ多くが1社応札になったのか。強調したのは「スポーツイベントの特殊性」だった。

 例えば、卓球やバドミントンは少しの風の影響も許されず、夏でも空調を入れずに温度を保つ専門性が求められる。落札企業の一つは「馬術会場を運営しろと言われても、馬をどう誘導したらいいかも分からない」。組織委の元幹部は「この競技はこの会社という強みがあり、ある程度のすみ分けができている」と解説する。

 しかし1月下旬、まず電通側が供述を変えた。「一覧表には他社がこなければいいという面もあった」と、他社を排除する談合の趣旨まで認めた。

 一定の調整をしたという事実に争いはない中、それが談合にあたるかという法的評価について、「絶対に譲れない」と否認を貫くか、談合だと認めて逮捕を免れる道を探るか――。捜査が山場を迎えた時期に迫られた選択だった。

 2月初旬、森元次長もこれに続いた。「業者はこちらの意向である表を受けて、応札したりしなかったりしたんだろう」と供述した。電通が組織として認める姿勢に転じ、1人では闘えないという判断だった。

 結果的に電通側も森元次長も逮捕されたが、任意段階で談合を認めたことで、起訴された場合の早期保釈や公判での情状酌量につなげる狙いもあった。

 一方、落札企業の中には「全部入札してもいいということだった」と談合を否定し続ける社もある。今後は特捜部が在宅起訴を視野に、どこまで立件対象を広げるかが焦点になる。

 最初に談合を認めたADKのある役員は、事件の背景として「広告業界の慣習」を指摘する。

 ガリバー的存在の電通がテレビ局などとの間に入って他の広告会社に仕事を回すのは業界慣習で、五輪でも組織委と電通は他社からは「一体」に見えていたという。「業界として談合の認識が薄いのは、普段の業界のモデルがそのまま五輪でも行われたということだ」
(金子和史 川嶋かえ)

今朝の東京新聞から。

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