香港郊野遊行・續集

香港のハイキングコース、街歩きのメモです。

2026年03月

「寒戰1994」、5月1日公開。



香港の大ヒット犯罪スリラーシリーズ「寒戰」の待望の続編「寒戰1994」は、5月1日に公開されることが正式に発表された。
同シリーズは、2作合わせて1億香港ドルを超える興行収入を記録し、香港映画史上最高の興行収入を誇る。本作は先日、リー・ウェンビン役の2世代(レオン・カーファイとラウ・チュンヒム)が揃って登場する盛大な記者会見を開催し、12人ものスターが出演する前例のないラインナップをフィーチャーした初の予告編とポスターを正式に公開された。
出演者には、チョウ・ユンファ、アーロン・クォック、トニー・レオン・カーファイ、ルイス・クーの4人の大御所に加え、ダニエル・ウー、ラウ・チュンヒム、ウー・カンレン、ツェ・クァンホ、ワン・ダンニ、リャオ・ズーユーなどが含まれる。また、エイダン・ギレン(「ゲーム・オブ・スローンズ」)やヒュー・ボネヴィル(「ダウントン・アビー」)といったイギリスやアメリカのドラマのスターもキャストに加わり、イギリスの主要官僚を演じている。チョウ・ユンファは最新の予告編で「コールド・ウォー2」の有名なセリフを再び口にし、二つの時間軸の物語でサスペンスを盛り上げている。
物語は2017年、次期行政長官イップ・シュンティン(ルイス・クー)の就任式の前夜に始まる。元警察副長官のリー・マンブン(トニー・レオン・カーファイ)が突然姿を消す。警察長官のラウ・キットファイ(アーロン・クォック)は、ベテラン弁護士のカン・オウワイ(チョウ・ユンファ)と共に真相を調査する。予告編では、カン・アウワイが『コールド・ウォー2』での名台詞「俺は言った、残りの人生、彼の面倒を見ること以外何もしない」を再び口にし、1994年のイ・マンバンに関する極秘ファイルを手渡す。

予告編は激動の時代、1994年を舞台に展開する。スリリングな銃撃戦や白兵戦のシーンが次々と繰り広げられ、互いに牽制し合い、裏の思惑を秘めた様々な勢力の印象的なセリフが次々と登場する。この過渡期の権力空白は、イギリス軍が密かに作戦を練る絶好の機会となる。大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で知られるエイダン・ギレンは、イギリスの高官を演じ、「我々は法を破らない。法を作るのだ」と、既存の体制におけるルールを冷静に語る。

一方、警察内部では、作戦担当副警視総監のチェ・ユエンケイ(ダニエル・ウー)と、組織犯罪対策局長のリー・マンブン(リウ・チュンヒム)が、運命的な対決に直面する。チェ・ユエンギは持ち前の鋭さで「言えないこともあれば、言えることはできるができないこともある。分かるか?」と言い放つ。これは、二人が以前から緊密で、互いに牽制し合う関係を築いていたことを示唆している。複数の勢力の接近に直面した情熱的なイ・マンバンも、一歩も引かず「香港はお前たちのものだとでも思っているのか?」と反論する。友と敵が入り混じるこの知略の戦いは、『寒戰』シリーズの緊迫感をさらに高める!

本作は、香港映画史上稀に見る壮大なスケールで、世代を超えた国際的な実力派俳優40名が集結する前日譚だ。本日公開された予告編では、主要キャラクター12名に加え、意外な顔ぶれも登場し、ファンはコマ送りでスターを探し出すことができる。予告編の最後には、伝説のアクションスター、ユン・ピョウが謎めいた役でサプライズ登場。「黒と白は常に絡み合い、互いに相手の要素を含んでいる」というセリフは、政治、ビジネス、警察、そして裏社会にまたがる40人の登場人物による権力闘争を簡潔に要約し、混沌の中で善悪の境界線が曖昧になることを浮き彫りにしている。今後、さらに多くの隠された登場人物や勢力が明らかになる予定だ。

息子が戦地にいたらトランプは強気発言できるか 風刺漫画家の問い(朝日新聞)

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 アメリカとイスラエルが始めたイランへの攻撃によって、中東では多くの市民が巻き添えとなり、死者はすでに2千人を超えています。アメリカの市民はこの事態をどう捉えているのか。多数のメディアに作品を掲載する風刺漫画家のクレイ・ジョーンズ氏は、トランプ大統領の息子の親指にできたマメを題材に現状を描きました。そこに込めた思いとは

 ――複数の世論調査で、過半数の市民がイランへの攻撃に反対すると回答しています。この結果をどう見ますか。

 多くはアメリカが新たな戦争を始めることを望んでおらず、今回の攻撃を否定的に捉えています。トランプ氏がこれまで「戦争を起こさない」と語ってきたこともあって、突然の攻撃開始に対する反発がより強くなっています。

 2003年にイラク戦争が始まった時には、世論は当初、戦争を支持していましたが、長期化するにつれて反対の声は大きくなりました。今回のイラン攻撃では、最初から否定的な見方が強いことが特徴です。反対する声はさらに高まっていくでしょう。

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米ニューヨーク中心部のタイムズスクエアで2026年2月28日、米国旗を映したスクリーンの前で、米国とイスラエルによるイランへの攻撃に抗議する人

 ――大都市では反戦デモがありましたが、アメリカ社会全体では抗議の声はそれほど大きくないようにも見えます。

 戦争が起きていることを知っていても、多くの人々はまだその痛みを実感していない状況です。私たちが攻撃にさらされているわけではないからです。

 家族が兵士として現地にいるような状況でない限り、今のところ最大の苦痛はガソリン価格の高騰くらいでしょう。現時点では、4千人以上のアメリカ兵が死亡したイラク戦争の局面とは異なります。

「また新たな戦争」 ホラー映画と同じ

 ――アメリカは攻撃の当事国です。人々や社会に大きな動揺が見られないのは不思議にも思えます。

 歴史の中で、アメリカは常に何らかの戦争と関わってきました。完全に平和だったといえる時代がほとんどないほどです。第2次世界大戦後にずっと戦争がなかった日本とは異なります。

 今回の攻撃も、「また戦争が始まった」と受け止められている側面があります。ホラー映画をたくさん見すぎて怖くなくなるのと同じように、アメリカ人は戦争が起きることに慣れてしまっているようです。

写真・図版
米ニューヨークで2026年3月7日、米国とイスラエルによるイランへの攻撃に抗議してデモをする人たち

 ――外国と交戦状態になることに恐怖はないのですか。

 過去にたくさんの戦争を繰り返してきましたが、アメリカ本土を攻撃されることがほとんどありませんでした。他国に対して恐ろしい行為を行い、ひどい戦争を繰り広げても、アメリカ市民が犠牲になることはなかったことが影響しているのだと思います。

息子が戦地へ送られたら トランプ氏は強気発言できるか

 ――あなたはアメリカによる対イラン先制攻撃のあと、トランプ氏が米軍兵士の遺族に声をかける風刺漫画を発表しました。テレビゲームのしすぎで息子のバロン氏の親指にマメができたとトランプ氏が語り、「お気持ちはよくわかります」と遺族に話す内容です。この漫画を通じて描きたかったことは何ですか。

 トランプ氏が他人の痛みに共感できない人物だということです。彼は、ビデオゲームで指にマメができた息子には共感できても、戦争で息子を失った人には共感できないだろうということです。それが私の批判です。

 トランプ氏はこの戦争で自分の家族が脅威にさらされることはありません。彼の子供たちが戦争に志願することもないでしょう。もし末っ子で20歳のバロン氏が兵士として送られていたら、トランプ氏は同じ強気の発言をするでしょうか。戦争が続けば、国民への影響は大きくなります。苦痛と犠牲の大きさを理解すべきです。

写真・図版
アメリカのイラン攻撃後にクレイ・ジョーンズ氏が発表した風刺漫画。アメリカ兵の遺族に、トランプ大統領が「お気持ちはよくわかります。(私の息子の)バロンはプレイステーション2で『コール・オブ・デューティー』をプレーして、親指にマメができてしまいました」と語りかけている。コール・オブ・デューティーは戦争を題材にしたゲーム

 ――ネット上では、バロン氏を兵士として中東に送るよう求める声も広がっています。こうした動きをどう見ますか。

 大統領の息子が他の若者と同じように戦争に行く姿を見たいと思う人たちがいることは事実です。しかし、現在のアメリカに徴兵制はありません。しかも、バロン氏は学生です。多くの人々は、強引に彼を徴兵して兵士にすべきだとは本気で考えてはいないと思います。

 ――米国のイラン攻撃についてあなた自身はどう思いますか。

 私が考えるのは、この攻撃は間違っているということです。私たちはイランをより危険な国にしてしまうでしょう。アメリカと敵対する理由をさらに増やし、私たちは今後もその脅威と向き合わなくてはいけません。とてつもない混乱を招くのではないかと心配しています。そしていずれは、愛する人の命が危険にさらされたり、経済が打撃を受けたりする形で、私たちに重くのしかかるでしょう。 

今朝の東京新聞から

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「コロンボ」のジョナサン・デミ

刑事コロンボ「美食の報酬」をJ・デミが演出していたのがずっと疑問でしたが、翻訳が出た「刑事コロンボとピーター・フォーク その誕生から終幕まで」にこんな文章が出ていました。
この本によればP・フォークが出演料アップのためにゴネまくり、自分の知り合いを製作スタッフ・キャストに押し込んでくるという映画会社の足元を見た行状がこれでもかと書かれています。

フォークはキャリアが急に途絶えた若い監督を起用した。
J・デミは、初の高額予算映画「市民ラジオ8(Citizens Band)」が封切られ大失敗に終わったところだった。「期待され、芽を出しかけたキャリアが壁にぶつかった」デミは語る。
「仕事が全く来なくなったんだ・・・P・フォークが「市民ラジオ」を観て「コロンボ」に誘い、救ってくれるまで」。
この「美食の報酬」からしばらくして、デミは「メルビンとハワード」の監督に起用され、やがて「羊たちの沈黙」を撮ることになる。

この「市民ラジオ」、日本では全く話題にされることもなく、一体どんな映画なのか興味津々でした。
youtubeにあった断片をアップしてみました。
ポール・ル・マットとキャンディ・クラークという「アメリカン・グラフィティ」のふたりの共演というのも気になります。



スパイダーはCB無線機の修理で細々と生計を立て、余暇にはREACT Internationalでボランティア活動をしている青年だ。彼は気難しい引退したトラック運転手の父親と暮らしており、父親のCB無線でのニックネームは「パパ・サーモダイン」だ。

クローム・エンジェルはハロルドという名のトラック運転手で、事故で負傷し、CB無線で緊急通報をする。スパイダーは彼を救助し、病院へ搬送する。回復期、ハロルドは地元の売春婦デビー(別名ホット・コーヒー)の訪問を受ける。デビーはCB無線で客引きをしている。クローム・エンジェルにはコニー(自称ポートランド・エンジェル)とジョイス(ダラス在住)という二人の妻がいる。二人は彼が二人とも妻であることを知らない。二人の妻が町にやって来て、クローム・エンジェルがホット・コーヒーと関係を持っていたこと、そして二人が同じ男と結婚していることを知る。

スパイダーの元婚約者パム(エレクトラ)はチアリーディングのコーチ兼体育教師で、CB無線で十代の少年たちとエロティックな会話をしている。彼女はスパイダーの兄で、ブラッドというハンドルネームで活動するディーンに恋愛感情を抱いている。

スパイダーがREACTの活動中に、緊急通信専用チャンネル9で地元の子供たちがくだらない会話をしていたため、活動が妨害された。これをきっかけに、スパイダーは違法なリニアアンプを使用している局など、違法なCB無線局を摘発するため、単独で行動を起こすことを決意する。スパイダーの標的は、高出力CB基地局を使って白人至上主義のヘイトスピーチを放送するネオナチのレッドバロンや、無線でポルノを朗読する少年ハスラーなどだ。スパイダーはREACTの仲間と共に、アンテナケーブルを切断したり、連邦通信委員会(FCC)の職員を名乗って違反者の自宅を訪ねて脅迫したりと、CB無線の電波浄化を目指して奔走する。

数々の複雑な友情関係や奇妙な恋愛模様が、ついにクライマックスを迎える。ついに、パパ・サーモダインが突然姿を消したことを受け、町全体が協力して捜索救助活動に乗り出す。

本作は公開当初、興行成績が振るわず、パラマウントはキャンペーンと配給戦略の見直しを余儀なくされた。タイトルに「バンド」という言葉が入っていることからミュージカルだと誤解されたため、CB無線との関連性を強調しないようタイトルを変更することも検討された。1977年9月30日のニューヨーク映画祭での上映に際し、『Handle with Care』と改題された。
本作の興行収入はアメリカとカナダでわずか815,530ドルにとどまった。
『Handle with Care』は現在、レビュー集計サイトRotten Tomatoesで100%の評価を獲得しており、9件のレビューに基づく平均批評家スコアは7.9/10となっている。
ジョン・サイモンはこの映画を「愛らしく、愉快で、やや風刺的なフォークコメディだが、結末がもう少し良ければ完璧だった」と評した。
2003年、ニューヨーク・タイムズ紙はこの映画を「史上最高の映画1000本」に選出した。

https://m.ok.ru/video/6812193327782


福島第一原発、示されぬ廃炉の姿 無謀な目標維持は「地元への背信」(朝日新聞)

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「1F廃炉の先研究会」松岡俊二代表に聞く

 未曽有の過酷事故から15年――。3基の原子炉がメルトダウンした東京電力福島第一原発の廃炉は最大の難題とも言えるが、なかなか進展しない。政府と東電は2051年までの廃炉完了を掲げるが、多くの専門家が非現実的と指摘する。燃料デブリの処分先も、廃炉の最終形も、定まっていない。

 早稲田大学大学院の松岡俊二教授は、パンドラの箱とも言えるこの問題で試されているのは、社会の意思決定のあり方であり、この国の民主主義そのものだと語る。先送りしてきた宿題に、私たちは向き合う覚悟があるのか――松岡教授は自身と社会に問いかけている。

燃料デブリ取り出しに「70~170年」

 ――政府と東京電力は、福島第一原発(1F)の「2051年までの廃炉完了」を掲げています。

 「現実的に不可能です。多くの専門家があり得ないと見ており、原子力規制委員会の田中俊一・元委員長も『できない』と指摘しています。廃炉の助言をする原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の更田豊志廃炉総括監すら『もともと困難だ』と言っています。にもかかわらず無理筋の『旗』を降ろさないのは、無責任です」

 ――「2051年」は、事故後間もない11年12月に政府が工程表で示しました。想定では21年に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しに着手する計画でしたが、開始は3年遅れました。

 「開始と言っても、推計880トンのデブリのうち試験的に約0.9グラムを採取しただけ。山登りで言えば、まだふもとで準備体操と登り方の検討をしている段階です」

 「『2051年』の根拠とされたのは、1979年の米国スリーマイル島(TMI)原発事故で、11年後に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)をほぼ取り出した事例です。1Fのデブリは3基にあるから、3倍の30~40年かかる――そんな粗い推計でした。ただ、TMIは原子炉圧力容器に水を張り放射線を遮った状態で作業できました。1Fではデブリが圧力容器の底を突き破り広範囲に広がっている。人類が経験したことのない事故炉で、難度は比較になりません」

 ――デブリ取り出しには「70~170年かかる」と独自に試算しています。

 「私の試算はあくまでTMIの実績からの算出なので、それでも極めて楽観的な数字です。第一『880トン』も推計で、実際にはもっと多いかもしれない」

インパール作戦と同じ過ち

 ――そもそも「廃炉」とは何を指すのか、政府も東電も明確にしていません。

 「更地にするのか、一部施設が残っても廃炉完了と見なすのか、ゴールはあいまいです。当初の11年版の工程表にあった『原子炉施設の解体』という記述は徐々に不明確になり、15年版からは事実上消えて『30~40年後の廃止措置終了を目標に』などという歯切れの悪い表現だけが残っています」

 「福島県民の多くは、更地になって地元に返還されるのが廃炉だと今も考えているでしょう。エンドステート(最終形)を明確にせず、無謀な目標の軌道修正もしない――これでは福島は未来像をいつまでも描けません」

 「このままでは、51年の間近になって『やはり無理でした』となるのは目に見えている。私の目には、実情から目を背け机上の作戦に固執した日本軍のノモンハンやインパールでの過ちの繰り返しに映ります」

 ――取り出したデブリや放射性廃棄物の行き先も大きな課題です。

 「通常の原発から出る使用済み燃料は、再処理後にガラス固化体にして最終処分する枠組みがありますが、事故由来のデブリは想定外です。福島県はデブリを含む放射性廃棄物をすべて県外で最終処分するよう求めています。しかし最新19年版の工程表は、デブリは1F内の設備で乾式で保管すると記している。量や期間には触れていませんが、地元からすれば大きな疑念を呼ぶものです。誰の責任で、どこに持っていくのか、どう保管するのか、あいまいなまま『取り出す』と言い続けているのが現状です」

 「TMIでは、アイダホ州に運ぶことを決めてからデブリの取り出しを始めました。原発敷地内での半永久的な保管になるのではと地元住民が懸念したため、エネルギー省と原子力規制委が覚書を締結し責任体制を明確化したのです」

 ――責任の所在が見えにくいのは、国と東電、NDFのもたれ合い構造が原因だと指摘していますね。

 「1Fの廃炉は国が大方針を決め、NDFが年度ごとの技術戦略プランをつくり、これに沿って東電が作業を進めています。これを改め、東電が責任を持って戦略を立て、NDFは資金管理に徹し、原子力規制委員会が監視するという透明な体制にすべきです」

 「23年に処理水の放出を始める際、東電は『政府の判断』と繰り返しました。これではいつまでも社会の理解や信頼は得られません」

 「米国の経営史家アルフレッド・チャンドラーは『戦略が組織を規定する』と述べていますが、福島の現状は逆です」

デブリと除染土、一体管理も検討を

 ――松岡さんが代表を務める「1F廃炉の先研究会」は今月、1Fに隣接する中間貯蔵施設に保管される除染土や焼却灰などを、デブリなど1Fからの放射性廃棄物と共に総合的に管理する可能性も検討すべきだと提言しました。

 「言いにくいことですが、1F廃炉は100年単位の時間軸で考えるべき作業です。処理方法も決まっていない現状で高線量のデブリを取り出しても、持っていく場所はない。一方、東京ドーム11杯分の約1400万立方メートルに及ぶ除染土などは県外での最終処分が決まっていますが、これも社会的受容度は低く、困難が予想されます。4分の3の量を占める、放射性物質濃度が1キロあたり8千ベクレル以下の除染土は公共事業で再生利用することになっていますが、それすら受け入れ先の抵抗感が強く、進んでいません」

 「これは研究会ではなく個人としての見解ですが、デブリなど1Fの廃棄物と高濃度の除染土などを、1F敷地内の保管施設で安全に一体管理することを、現実的な選択肢として柔軟に考えるべきではないでしょうか」

 ――しかし、除染土の2045年までの県外最終処分は法律で決められたものです。デブリの事実上の長期保管も、福島からすればとても容認できないでしょう。

 「『除染土の最終処分期限45年』も『51年廃炉完了』も、東日本大震災と原発事故で混乱する政治社会状況の下で、ごく一部の人々が決めたものです。この15年間で新たに分かってきた事実や知見を踏まえ、立場や世代を超えて、様々なステークホルダー(利害関係者)が開かれた対話と議論を重ねるべき時期にきています」

 「無理な旗を掲げ続けることこそ、最大のリスクです。また、言いっ放しで『実現は不可能』『無謀な目標だ』と指摘するだけなら誰でもできる。それも無責任です。デブリや除染土の最終処分の問題は『パンドラの箱』で、誰も触れたくないでしょうが、目をそらし続けることはできません。関係者は、自分の現役時代あるいは生きている間はやり過ごせると考えているかもしれません。でも、それこそ福島の人たちへの最大の背信でしょう」

 「デブリを取り出し、安定的に保管、監視できる状態をひとまず『中間目標』と設定し、その具体的道筋を、福島と日本中の幅広い人々が共に考え議論して決めていく――それが最も社会的納得感を得られる方法ではないでしょうか。デブリと除染土の一体管理はあくまで議論のたたき台としての一案です」

政策決定のイノベーションを

 ――1F廃炉への社会的関心ももっと高める必要がありますね。

 「廃炉費用は現在8兆円とされていますが、デブリを最終処分する費用は含まれていません。電気料金という形での国民負担が膨らむのは確実なのに、特に1Fの電力消費地だった首都圏の人々は、自分には関係がないと考える対象に無関心でいる『合理的な無知』にとらわれているように見えます。これを『合理的な関心』に変えるためには、1F廃炉法を制定し、国会審議で廃炉問題を『見える化』すべきです。責任主体と役割の明確化や透明性という点でも、立法化は必要と思います。現在、福島県浜通りにある中間貯蔵事業情報センターや廃炉資料館を東京都内に設け、我がことと考えてもらうことも必要でしょう」

 「重要なのは『社会の中の廃炉』という視点・アプローチです。技術面に加え、政策決定・遂行の面でもイノベーションを起こさなければ、廃炉問題の進展はあり得ません。これは、地域や世代間での対立をはらむ難題、例えば財政や社会保障の課題に取り組む際にも当てはまります。その意味では、1Fの廃炉問題は、日本の民主主義の今後を占う試金石なのです」

まつおか・しゅんじ 1957年生まれ。広島大教授などを経て早稲田大大学院アジア太平洋研究科教授。専門は環境経済・政策学。福島の住民や研究者らによる「1F廃炉の先研究会」代表。官僚や東電社員、避難者、地域住民らと福島第一原発の将来像を考える「1F地域塾」を主宰。 

トランプ台頭招いた米民主党の失敗は 左派論客ジュディス氏に聞く(朝日新聞より)

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 米国のリベラル勢力である民主党はなぜ失敗し、トランプ大統領を2度も当選させるという結果を招いたのか。民主党の問題点を左派の立場から鋭くえぐる近著が話題を呼んだ著述家ジョン・ジュディス氏に聞いた。

 ――今はトランプ氏と共和党の固い支持基盤となっている米ウェストバージニア州の炭鉱地帯を訪れた時、昔は多くの家でキリストと民主党のケネディ大統領の肖像画が飾られていたと聞きました。以前は労働者やキリスト教徒に強く支持されていた民主党の変化に驚いた覚えがあります。背景は何ですか。

 1970年代が重要な節目です。それまでは、30年代にニューディール政策を進めた民主党のルーズベルト大統領を強く支持していた労働者層が「ニューディール連合」を築いていました。これが崩れていったのです。人種差別の是正を目指した公民権運動に対し、反発した南部の白人労働者層が共和党へ移りました。この白人層には保守的なキリスト教福音派も多く、ベトナム反戦運動などを通じて高揚した(都市部の若者が体制や保守的な考えに対抗した)「カウンターカルチャー(対抗文化)」の動きにも反発していました。 
労働運動の退潮も始まりました。民主党はウォール街(金融界)やハリウッド(娯楽業界)のエリートや献金者との結びつきを強め、労働者に打撃を与える自由貿易や緩やかな移民政策へ傾きました。94年、民主党のクリントン大統領の下で北米自由貿易協定(NAFTA)が発効し、その年の中間選挙で共和党が圧勝したことは、公民権運動や貿易、社会・文化問題を巡って労働者層が不満を募らせていたことの象徴でした。

 ――2期務めたオバマ大統領や、トランプ氏を下したバイデン大統領は一時的にせよ、党勢を回復したのではないですか。

 オバマ氏の経済政策は新自由主義的で、金融界の献金者には配慮する一方、労働運動の衰退による支持基盤の溶解という問題には対処しませんでした。バイデン氏は、インフレと移民規制という課題で失敗しました。

 人種や性が関わる社会・文化問題でも民主党は近年、極端な方向に進んでいました。例えば、2024年の大統領選で焦点になったトランスジェンダーの問題があります。私はトランスジェンダーの人への差別は許されないと考えますが、未成年の子どもが手術を受けられるようにすべきだという意見には賛成しません。こうした問題が極めて重大だと働きかけたロビー団体があり、民主党がそうした運動と同一視されたことで、共和党に効果的な攻撃材料を与えました。

マムダニ氏の勝利が示すものは

 ――労働者層に注目が集まる一方、民主党の支持者が多い都市部の大卒有権者層が見過ごされてしまっている面はありませんか。

 民主党の課題は、ジェンダーや人種、移民といった社会課題への見方が、都市部の極めて高学歴な少数の活動家的グループによって決められてしまう傾向があることです。こうした極端な見方は、大卒有権者の間でも必ずしも人気があるわけではありません。もし民主党が国政レベルの選挙で勝ちたいのであれば、こうした活動家的な要素を捨てる必要があります。この部分をあきらめたとしても、大卒有権者層の要望に応えることはできます。

 ――「民主社会主義者」を自称するインド系のマムダニ氏がニューヨーク市長に就いたことをどう考えますか。

 彼の選挙運動を見に行きましたが、従来は政治に関心が薄かった多様な若年層を動員していました。社会・文化問題からは距離を置き、徹底的に経済・物価問題に焦点を当てていました。ニューヨーク以外の保守的な中西部や南部でそのまま通用するとは思えませんが、今後の民主党にも重要な示唆を与えるものです。民主党は、経済問題では(格差是正のために積極的に富の再分配を進める)左派の立場から、社会・文化問題では(性が関わる問題などで過激と受け取られる主張から距離を置き)右派との中間的な立場から戦うべきなのです。

 ――今年の中間選挙や28年の大統領選に向け、民主党の行方をどのように見ていますか。

 足元の物価状況や経済格差を見ても、中間選挙では民主党に大きな優位があると見ています。トランプ氏は誰にも制御できない状態に陥っており、彼がコロナ下の混乱を経て20年の大統領選で落選したように、共和党には不利に働きます。大統領選は予備選まで予測が難しいですが、何人かの州知事は有力な民主党候補になるでしょう。
 ただ、私もこれまでトランプ氏の行動を過小評価し、見誤り続けてきました。20年の大統領選で負けたのに「選挙が盗まれた」と主張するとか、米連邦議会議事堂襲撃事件が起きるといったことは予想すらしていませんでした。「中間選挙が民主党に有利」などと言っていられるのは選挙が普通に実施されることが前提ですが、米国の民主主義が非常に危険な時代にあることにも留意が必要です。

John Judis
米誌ニュー・リパブリックなどで活躍。2023年の著書「アメリカ民主党 失敗の本質」(2月に邦訳出版)は米紙ウォールストリート・ジャーナルで「民主党員の必読書」と評された。
 

息を吐くようにうそをつく 米大統領の長広舌は1時間48分(朝日新聞より)

論説委員コラム「序破急」 坂尻信義

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 読んでいて、気分が悪くなった。トランプ米大統領の2月の一般教書演説は、史上最長だった。史上最悪の内容でもあったはずだ。気力を振り絞り、動画も見た。この人物が世界最大の権力を握っていることが怖くなった。

 日本で「一般教書」と訳されることが多い「State of the Union」は、米国の憲法第2条3項にある「大統領は随時、合衆国(Union)の現状(State)についての情報を議会に報告しなければならず……」との規定にもとづく。年初におこなわれることが定着した。

 しかし、トランプ氏が延々と繰り出した単語で1万語を超える言葉は、虚偽や虚勢、誇張の羅列だった。

 就任から10カ月で「八つの戦争を終わらせた」。パキスタンとインドは「核戦争に発展しかねなかった。私が関与していなかったらパキスタンの首相は死んでいた」。イスラエルとイランの戦争も終わらせたと胸を張った。

 処方薬の価格を世界最低の水準に引き下げたのだという。値下げ率は「300%、400%、500%、600%、いやもっとだ」。100%を超える値下げは理論上、消費者が薬を求めると金銭を受け取ることを意味する。

 息を吐くようにうそをつく。ためらいも恥じらいも感じられない。

 ワシントンで政権の動きを追う元敏腕記者の米国人アナリストは「大統領に怒られるのが怖くて、誰も何も言えないのではない。とりまきは大統領のうそを何とも思っていない」と嘆く。

 同時多発テロの翌2002年の一般教書で、ブッシュ元大統領は北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と呼び、米国は証拠を捏造してイラクに侵攻した。北朝鮮はこの挑発を口実に核開発を進め、核弾頭を持つに至った。オバマ元大統領は「核なき世界」を唱えた09年のプラハ演説を一般教書で繰り返すことはなかった。バイデン前大統領は24年の一般教書で「米国が連帯し、必要な兵器を供与すればウクライナはプーチンを止めることができる」と大見得を切る。再選をあきらめきれずに引き際を誤り、トランプ氏の再選を招いた。

 一般教書には失望の連続だった。でも今年のひどさは別格だ。そして、イランへの攻撃がはじまった。

今朝の東京新聞から。

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NYTによるイラン攻撃の内幕。

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N.Y.Timesの六人の記者による記事。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2月11日の朝、大統領執務室に入り、アメリカ大統領を戦争への道へと進ませる決意を固めていた。

数週間にわたり、アメリカとイスラエルはイランに対する軍事攻撃について秘密裏に協議を続けてきた。しかし、トランプ政権当局者は最近、イランの核開発計画の将来についてイランと交渉を開始しており、イスラエルのネタニヤフ首相は、新たな外交努力が計画に支障をきたさないよう万全を期したいと考えていた。

約3時間にわたり、両首脳は戦争の可能性、さらには攻撃の可能性のある日時、そして可能性は低いものの、トランプ大統領がイランと合意に至る可能性について協議した。

数日後、アメリカ大統領は外交ルートに懐疑的な姿勢を公に表明し、イランとの交渉の歴史は長年にわたる「話し合い、話し合い、そして話し合い」に過ぎないと一蹴した。
記者団からイランの政権交代を望むかと問われたトランプ氏は、「それが最善の策のように思えます」と答えた。

2週間後、大統領はアメリカを戦争へと駆り立てた。イスラエルと連携した大規模な軍事爆撃を承認した大統領は、イランの最高指導者を瞬く間に殺害し、イランの民間施設や軍事核施設を破壊した。国は混乱に陥り、地域全体で暴力行為が勃発した。これまでに米兵6名とイラン民間人数十名が死亡した。トランプ氏は、数週間に及ぶ可能性のある攻撃に備え、アメリカ軍の犠牲者が増える可能性が高いと述べている。
トランプ氏は公の場では、イラン政府との合意を望むと言いながら、同時にそれを打倒したいと言い、軍事行動への道を迂回しているように見えた。今こそ戦争が必要だとアメリカ国民を説得しようとはほとんど努力しなかった。彼とその側近が主張した限られた根拠には、イランがアメリカに及ぼす脅威の差し迫りに関する虚偽の主張も含まれていた。

しかし、水面下では、彼の戦争への動きは容赦なく強まっていた。ネタニヤフ首相のような同盟国が大統領にイランの神権政治政権に決定的な打撃を与えるよう圧力をかけ、そして1月にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を打倒した米国の作戦の成功を受けてトランプ氏自身が自信を深めたことも、その原動力となっていた。
トランプ大統領がイランへの持続的な攻撃を開始する決断を下した経緯を再構成した本稿は、協議内容を直接知る関係者に加え、地域の外交官、イスラエルとアメリカの政権関係者、大統領顧問、議会議員、国防・情報当局者など、議論のあらゆる立場の関係者の証言に基づいている。ほぼ全員が匿名を条件に、デリケートな議論や作戦の詳細について語ってくれた。

米国のイラン攻撃決定は、ネタニヤフ首相にとっての勝利だった。首相は数ヶ月にわたり、弱体化したイラン政権への攻撃の必要性をトランプ大統領に訴えてきた。12月にトランプ大統領の別荘マール・アー・ラーゴで行われた会談で、ネタニヤフ首相はイスラエルが今後数ヶ月以内にイランのミサイル基地を攻撃することについて大統領の承認を求めていた。

2ヶ月後、首相はさらに素晴らしいものを手に入れた。イラン指導部を打倒するための戦争における完全なパートナーを得たのだ。
ホワイトハウス報道官のキャロライン・リービット氏は月曜日の声明で、トランプ氏は歴代大統領が立ち向かおうとしなかった脅威に立ち向かう「勇気ある決断」をしたと述べた
大統領の側近で軍事行動に反対の声を上げたのはわずかだった。中東におけるアメリカの軍事介入に長年懐疑的だったJ・D・ヴァンス副大統領でさえ、ホワイトハウスのシチュエーションルームでの会合で、もしアメリカがイランを攻撃するのであれば「大規模かつ迅速に行うべきだ」と主張したと、彼の発言を知る関係者は語っている。

同じ会合で、トランプ氏の首席軍事顧問である統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は、戦争はアメリカ軍に多大な犠牲をもたらす可能性があると大統領に伝えた。数日後、トランプ氏は国民に対し、軍事顧問の方がはるかに安心感を与えてくれたと語った。彼はトゥルース・ソーシャルに、ケイン将軍がイランに対するいかなる軍事行動も「容易に勝利できる」と述べたと投稿した。

他の政権当局者も、議員との非公開の会合で同様に誤解を招く発言をした。マルコ・ルビオ国務長官は2月24日、上下両院の院内総務と情報委員会の委員長からなるいわゆる「ギャング・オブ・エイト」との会合で、トランプ政権が政権交代を検討していることには一切言及しなかったと、同長官の発言に詳しい関係者は述べている。

3日後、トランプ大統領はエアフォースワンでテキサス州コーパスクリスティでのイベントに向かう機内で、最高指導者の殺害を皮切りに、継続的な攻撃を命じた。

「エピック・フューリー作戦を承認する」とトランプ氏は述べた。「中断は認めない。幸運を祈る」

ホワイトハウスは、イランとの外交交渉は単なる芝居ではないと主張していた。しかし、この1ヶ月で、トランプ大統領、ネタニヤフ首相、そしてイランの指導者たちを一度に満足させるような合意、あるいは戦争を数ヶ月以上先送りできるような合意など、到底あり得ないことが明らかになった。
会談は何も成果をもたらさなかったが、トランプ氏にとっては別の目的があった。それは、中東におけるこの世代で最大規模の米軍増強を完了し、トランプ氏の言葉を借りれば「圧倒的な力と破壊力」による戦争を遂行するための時間だったのだ。

日曜日のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、大統領はイランが自分の望むものを決して与えないと確信したと述べた。

「交渉の終盤で、私は彼らが目標を達成できないと悟った」と彼は語った。「私は『とにかくやろう』と言ったのだ」
1月中旬、トランプ氏が初めて、イラン国内で広がる反政府デモへの支援としてイランを攻撃すると脅したとき、国防総省は中東で長期にわたる戦争を遂行できる立場になかった。
この地域には空母は存在せず、戦闘機部隊はヨーロッパとアメリカに駐留していた。そして、中東各地に点在する約4万人の米軍部隊が駐留する基地は、予想されるイランの報復から身を守るための防空体制が不足していた。

イスラエルはまた、ネタニヤフ首相が12月のマール・アー・ラーゴでの会談でトランプ氏と協議した軍事作戦の準備も整っていなかった。ミサイル迎撃ミサイルの供給を強化し、イスラエル全土に防空砲台を配備するには、より多くの時間が必要だった。

1月14日、ネタニヤフ首相はトランプ氏に電話をかけ、イスラエルの防衛準備が完了する月末まで軍事攻撃を延期するよう要請した。トランプ氏は待つことに同意した。

両首脳はその後数週間にわたって数回会談を行った。ネタニヤフ首相は、ヴァンス氏、ルビオ氏、そしてホワイトハウスの対イラン交渉担当首席補佐官であるスティーブ・ウィトコフ氏とも協議した。イスラエル軍と情報機関の高官がワシントンに飛び、イスラエル国防軍参謀総長のエヤル・ザミール中将は、米中央軍のブラッド・クーパー大将と定期的に連絡を取り合った。

1月下旬までに、イランにおける抗議活動は容赦なく鎮圧されたが、戦争計画は順調に進んでいた。米軍はトランプ大統領に対し、イラン国内の施設への急襲作戦のために米軍を派遣するなど、より広範な選択肢を提示した。
2隻の空母と12隻の支援艦艇が中東に向けて出航し、国防総省は戦闘機、爆撃機、空中給油機、防空砲台を派遣した。

2月中旬までに、国防総省は数週間にわたる軍事作戦を遂行できる戦力を整備した。

当時、ウィトコフ氏と大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏は、トランプ大統領の指示の下、イランと間接的な核協議を行っていた。
しかし、政権が警戒している兆候もあった。

「イランは最終的にはシーア派聖職者、それも過激なシーア派聖職者によって統治され、その決定が左右されていることを理解する必要がある」とルビオ氏は2月16日、ブダペストで記者団に語った。「彼らは純粋な神学に基づいて政策決定を下す。そういうやり方で意思決定をする。だから、イランと合意するのは難しいのだ」
メッセージは明白だった。協議はイランの核開発計画の解体に関するものだったが、その目的はイランの指導部を排除することにあるかもしれない。

ウィトコフ氏が2月21日、FOXニュースのインタビューで、トランプ氏がイランが「ゼロ濃縮」、つまり核燃料生産能力の解体に難色を示していることに対する反応を語った時、その意味が明らかになった。

「トランプ氏は、なぜイランが降伏しないのか、つまり『降伏した』という言葉は使いたくないが、なぜ降伏しないのかを知りたいようだ」とウィトコフ氏は述べた。

さらに、「なぜ、これほどの圧力がある中で、我々があちらで保有する海軍力の規模を考えれば、彼らは我々に『我々は核兵器は欲しくないと主張する。だから、我々が用意しているのはこれだ』と言ってくれないのか?」と付け加えた。

「しかし、彼らをその立場に追い込むのは容易ではない」とウィトコフ氏は述べた。

大統領の顧問たちは、大統領が何らかの軍事攻勢を強く検討していることは明らかだった。問題は、その軍事作戦の規模と、それが具体的に何を達成しようとしているのかということだった。
2月18日、季節外れの暖かさが続くワシントンで、ヴァンス氏、ルビオ氏、ジョン・ラトクリフCIA長官、そしてホワイトハウス首席補佐官のスージー・ワイルズ氏は、トランプ大統領と共にシチュエーション・ルームに集まり、軍事計画について協議した。

会議中、ケイン将軍は様々な選択肢について議論した。その中には、米軍がイランを交渉に押し込むための限定的な攻撃を行うか、あるいはイラン政府転覆を目的としたより大規模な作戦を行うかが含まれていた。特に後者の選択肢は、米軍の死傷リスクが高く、地域の安定を揺るがし、米軍の兵器備蓄を大幅に枯渇させる可能性があるとケイン将軍は述べた。

ケイン将軍は、検討中の選択肢はどれも、ベネズエラのマドゥロ大統領の拘束に成功するよりもはるかに困難であると強調した。大統領は、この作戦をイランにおける米国の成功の兆しと見ていた。

ケイン将軍の報道官ジョー・ホルステッド氏は、大統領と国防長官に提供された「選択肢と検討事項」は機密事項であるとしてコメントを控えた。
一方、個人的には軍事攻撃に反対の姿勢を見せていたヴァンス氏は、限定的な攻撃は誤りだと主張した。米国がイランを攻撃するのであれば、「大規模かつ迅速に」行うべきだと、同氏はグループに語った。

ヴァンス氏の報道官はコメントを控えた。

会談前、トランプ氏はまず小規模な攻撃を行い、イランが核濃縮を放棄しない場合はより大規模な攻撃を行うという戦略に傾いていたように見えた。しかし、ヴァンス氏の主張は反響を呼んだようだ。そしてその後数日間で、米国とイスラエルはイランのミサイル・核開発計画だけでなく、指導部自身も共同で標的にすべきだという考えに傾く当局者が増えた。

CIAは、同国の最高指導者であるアリー・ハメネイ師が攻撃で殺害された場合に起こり得る一連のシナリオを作成した。変数の数が多いため、何が起こるかを自信を持って評価することが困難だったため、彼らは複数の起こり得る結果を提示した。
一つは、アヤトラ・ハメネイ師に代わる強硬派の指導者、ひょっとすると核兵器取得にさらに傾倒する指導者の出現を予測した。もう一つのシナリオは、政府に対する反乱を予測したものだったが、イランの反体制派の弱さを考えると、多くの情報機関関係者は反乱の可能性は低いと考えていた。
トランプ政権の高官数名は、第三のシナリオを示唆した。それは、イスラム革命防衛隊(IRG)内の強硬派聖職者よりも現実的な一派が権力を握るというシナリオだ。名目上は聖職者が引き続き指揮を執る可能性が高いものの、実際には同軍幹部が国を率いることになる。

​​このような動きは、40年にわたり強硬な反米姿勢を貫き、イランの聖職者指導部と深く結びついてきた将校団にとって、劇的な転換となるだろう。

しかし、CIAの分析によると、米国がこの一派の経済活動、例えば石油産業への影響力に干渉しない限り、将校団の一部は米国に対して融和的な姿勢を示す可能性がある。彼らはイランの核開発計画を放棄したり、イランの代理軍による米国への攻撃を阻止したりするかもしれない。

CIAはコメントを控えた。

軍事行動に反対するロビー活動はほとんどなかった。唯一の例外は、右派のポッドキャスターで大統領の側近でもあるタッカー・カールソン氏だ。彼は過去1ヶ月間に3回、大統領執務室で大統領と面会し、攻撃に反対を主張した。

カールソン氏は、米国がイランと戦争に突入した場合、米軍人、エネルギー価格、そしてこの地域のアラブ諸国へのリスクを説明した。カールソン氏は大統領に対し、イスラエルに窮地に陥るべきではないと述べ、米国が攻撃を検討しているのは、イスラエルがイランを攻撃したいという願望があるからに他ならないと主張した。また、トランプ氏に対し、ネタニヤフ首相を牽制するよう促した。
大統領は攻撃のリスクを理解していると述べたものの、カールソン氏に対し、イスラエルが行う攻撃に参加する以外に選択肢はないと伝えた。

カールソン氏は2月23日正午にホワイトハウスを去った後、トランプ氏が軍事行動に傾いていると考えていると関係者に語った。
ホワイトハウスは、トランプ大統領に対し対イラン作戦開始にあたり議会の同意を得るよう求める一部議員の要請を無視し、議会で戦争の必要性を訴える努力もほとんどしなかった。

しかし2月24日、トランプ大統領の年次一般教書演説の数時間前、いわゆる「ギャング・オブ・エイト」と呼ばれる議員たちが議事堂内の厳重な会議室に集まり、ルビオ氏とラトクリフ氏とビデオ会議で協議した。2人はペンシルベニア通りを少し下ったホワイトハウスにいたが、大統領演説の警備体制のために3.2キロメートルの移動は困難を極めた。
ルビオ氏とラトクリフ氏は、攻撃の背景にある情報、攻撃のタイミング、そしてイランが今後の協議で核濃縮を放棄した場合の潜在的な「出口」について協議した。

しかし、ルビオ氏は政権が政権転覆作戦を検討していることには一切言及しなかった。

ルビオ氏はブリーフィングで、イスラエルと米国のどちらが先に攻撃したとしても、イランは米軍基地や大使館に対する強力な武器の集中攻撃で応じると主張した。いずれにせよアメリカは巻き込まれることになるので、アメリカはイスラエルと協力して行動するのが理にかなっているとルビオ氏は述べた。そして、イスラエルは行動する決意をしているとルビオ氏は述べた。

この論理は一部の民主党員には受け入れられなかった。彼らは、トランプ政権はネタニヤフ首相にアメリカの政策を左右させており、アメリカの軍備増強がイランの攻撃を誘発する可能性があるため、アメリカは攻撃しなければならないという循環論法を展開していると考えていた。
一般教書演説の2日後の木曜日、ウィトコフ氏とクシュナー氏はジュネーブへ向かい、英語が堪能でアメリカに精通したアラグチ外相ともう一度交渉した。
イラン側は、将来の核濃縮レベルを示唆する7ページにわたる計画を米国に提示した。その数値はウィトコフ氏とクシュナー氏を警戒させた。

米国当局者によると、米国は依然としてイランに対し、濃縮度ゼロの約束を求め、民生用原子力計画のための核燃料の無償提供を提案したが、イラン側は拒否した。協議終了後、ウィトコフ氏とクシュナー氏はトランプ氏に対し、合意は成立しないと考えていると伝えた。

その日、トランプ氏は大統領執務室に共和党上院議員4名を招き、自身の立法議題に関する会合を開いた。会話は最終的にイラン問題に移った。

サウスカロライナ州選出の共和党上院議員で、イラン攻撃を声高に支持するリンジー・グラハム氏は、大統領は苛立ちを隠せず、イラン側は合意に関心がないと考えていると述べた。
「トランプ大統領は本当に外交を追求する必要があると感じていたと思います。外交を追求することを望んでおり、軍事的選択肢は最後の手段だと思っていたのです」とグラハム氏はインタビューで述べた。グラハム氏はトランプ氏に対し、イランが交渉を長引かせすぎないようにすべきだと伝えたという。

「彼は自分が試みたことに非常に満足していました」とグラハム氏は述べた。

一方で、外交は単なるパントマイムで、必ず失敗する運命にあったと考える者もいる。

バイデン政権で国務次官補として中東政策を担当した元外交官のバーバラ・リーフ氏は、トランプ氏が必然的に軍事行動へと向かっていることは明らかだと述べ、協議の最中に第二空母打撃群をこの地域に派遣したことを指摘した。

「あれは戦争計画の証拠でした」と彼女は述べた。「外交でより大きな影響力を持つために、あれは必要ないのです。彼が軍事攻撃に出るであろうことに、私は全く疑いを持っていませんでした。」
実際、米国とイスラエルは、ジュネーブでの会談前日の水曜日に既に攻撃の可能性について協議していました。ホワイトハウスは、イランに核濃縮への野望を諦めさせる最後のチャンスを与えるため、攻撃時期を木曜日の夜に延期しました。その後、夜間に紛れてテヘランを攻撃するという案で、攻撃時期は金曜日まで延期されました。

この時期は、最終的に驚くべき諜報活動によって決定されました。

アヤトラ・ハメネイ師の動向を綿密に追跡していたCIAは、最高指導者が土曜日の朝、テヘラン中心部の自宅敷地内に滞在する予定であることを掴みました。イランの文民および軍の高官たちも、同じ場所で同時刻に会合を開く予定でした。

CIAはこの情報をイスラエルに渡し、両国の指導者は、日中に大胆な「斬首」攻撃で戦争を開始することを決定しました。

金曜日の午後、エネルギーに関する演説を行うためコーパスクリスティへ向かったトランプ大統領は、公式のゴーサインを出した。

地上に降り立った大統領は、外交が行き詰まりを示唆し、記者団に対し「交渉に満足していない」と述べた。何十年もの間、イランは「我が国の人々の脚、顔、腕を吹き飛ばしてきた。彼らは我が国の船舶を一隻ずつ撃ち落とし、毎月何かが起きている」と大統領は述べた。
アメリカが攻撃を準備しているという手がかりは豊富にあったものの、イラン当局者4人によると、イラン側は日中に攻撃が行われる可能性は低いと考えていたという。

それは土曜日の朝、イランでは平日の始まりで、子供たちは学校へ、人々は仕事へ向かう時間帯だった。

最高国家安全保障会議の会議出席者は、アメリカやイスラエルのスパイに知られない可能性のある地下バンカーやその他の秘密の場所で会議を開く必要性を感じていなかった。

当局者によると、アヤトラ・ハメネイ師は側近に対し、戦争が勃発した場合、身を潜めた指導者として歴史に裁かれるよりも、その場に留まって殉教者となることを望むと語ったという。

高官たちが会議のために集まっている間、彼は敷地内の別の場所にある執務室にいた。彼は会議終了後に説明を受けたいと申し出た。

ミサイルは会議開始直後に着弾した。
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